アルコール依存の相続人に対する対策
お客様である小林貴史さん(仮名)は、高齢になり遺産相続の準備を進める中で、ある深刻な問題に直面していました。
それは、貴史さんの息子である小林雄二さん(仮名)のアルコール依存による素行不良です。
雄二さんは長年にわたってアルコール依存症に悩まされており、その影響で家庭内外で暴力を振るうなどのトラブルを引き起こしていました。
さらに、雄二さんの配偶者も同様に問題を抱えており、貴史さんとしてはこの夫婦に遺産を渡したくないという強い意向がありました。
加えて、貴史さんの娘である山田尚子さん(仮名)もこの問題に深く悩んでいました。
尚子さんは雄二さんの暴力的な振る舞いや不安定な行動に対して日頃から恐怖を感じており、将来的に雄二さんとの遺産分割協議が発生することで、雄二さんとの対立や交渉に巻き込まれることを恐れており、強く避けたいと考えていました。
このような状況の中、貴史さんはどのように遺産を分配すれば、家族全員の安全と安心を確保できるのか悩んで、当事務所にお越しいただきました。
【当事務所からの提案およびサポート】
当事務所は、貴史さんの状況を詳しくヒアリングし、最適な対策として遺言作成を提案することで、安心のご提供を致しました。
具体的には以下のような提案となります。
1. 遺留分を考慮した遺産分割
貴史さんの意向に沿って、雄二さんには遺留分に相当する金融資産を残し、その他の財産は尚子さんや他の家族に分配することを提案しました。これにより、尚子さんが遺留分侵害額請求を受けるリスクを最小限に抑えつつ、雄二さんとその配偶者に貴史さんの自宅等の不動産が渡るのを防ぎ、尚子さんと雄二さんが不動産を共有する事態を防ぎます。
2. 具体的な財産の分配先の明示
遺言書において、各相続人にどの財産をどのように分配するかを明確に記載しました。特に、尚子さんには主要な資産である自宅や現金を指定し、将来的な遺産分割協議を避けるための具体的な方策を講じました。
3. 遺言執行者の指定
遺言内容を確実に実行するために、信頼できる第三者(司法書士法人キャストグローバル)を遺言執行者として指定しました。この遺言執行者が貴史さんの意向に従い、遺産分割を円滑に進めることで、家族間のトラブルを未然に防ぐことを目指しました。
4. 公正証書遺言の作成
遺言の内容を法的に確実なものとするため、公証役場で公正証書遺言として作成しました。これにより、遺言の有効性が法的に担保され、将来的な争いを避けることができます。
【結果】
この遺言作成により、貴史さんは雄二さんとその配偶者に遺産を渡さないという意向を実現することができました。
また、尚子さんは遺産分割協議に巻き込まれることなく、安全かつスムーズに相続手続きを進めることができるようになりました。
また、遺言執行者の存在により、遺言の内容が確実に実行され、家族間のトラブルを避けることが出来ました。
今回の事例を通じて、遺言作成が複雑な家族関係や特定の相続人に対する懸念を解消する有効な手段であることをお分かりいただけるのではないでしょうか。
貴史さんの家族は、遺言作成によって安心と安全を手に入れ、円滑な相続手続きにつなげることが出来ました。
他のお客様にも同様の状況での遺言作成の重要性をご理解いただけると思います。