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自社株を後継者へ贈与したいが、議決権は引き続き保有したい

民事信託を活用したケースその5:自社株を後継者へ贈与したいが、議決権は引き続き保有したい

Aさんは事業を営んでおり、幸いにも業績が好調で自身が保有する自社株の評価額が毎年上がってきています。

そのため、相続税対策としても今のうちに後継者である息子のBさんに株式を贈与することを検討しています。

しかし、息子Bさんは経営者としてはもう少し修行が必要なので、当面は株式の議決権はAさん自身で保有し、会社を経営していきたいと考えています。

このような場合に、相続税対策のために株式は後継者に贈与して、議決権は引き続き保有するということは可能なのでしょうか。

民事信託を活用した解決例

このような場合、信託を活用することで、自社株の相続税対策をしながら議決権をAさんのもとに残すことが可能です。

まずAさんの財産である自社株をAさん自身に信託します。(イメージしづらいかもしれませんが、こういったことも可能です)

この場合、議決権は株式を信託された人に属するので、Aさん自身が議決権を保有し続けます。

一方で、受益者(預けられた財産から得られる利益を受け取る人)を息子のBさんに設定します。

そうすることで、自社株の経済的価値はBさんへと移ります。

課税法上、贈与税や相続税は経済的価値に対して課せられますので、信託の場合は受益者であるBさんに自社株が贈与されたと見なされ、贈与税がかかることになります。

このように、信託を活用することで議決権と株式の経済的価値を分離し、議決権を保有したまま相続税対策として贈与をすることが可能なのです。

この記事の執筆者
株式会社キャストグローバル 町田支店 代表 荒木 光
専門分野相続/生前対策
経歴年間約600件/累計3,500件以上の相談を受けるキャストグローバルコンサルティング事業部にて、本部および町田支店でそれぞれチームを率い、遺言作成1,200件超、遺言執行者としても250件超の実績がある。相続対策や相続発生後の手続はもちろんのこと、様々な相談者のニーズに合わせたトータルアドバイスを行うことで、多くの顧客から絶大な信頼を得る、相続実務の数々の現場を知るコンサルタント。自身でも1000件以上の依頼実績を持ち、類似する過去の解決事例から最適な解決法を提案する。
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